このところ化粧水にはフローラルウォーターを使っています。
いつもは専用のガラス器具で20ccくらいずつ蒸留しているのですが、もっとまとめてどーんと作りたい衝動に駆られていて・・・。というか、実はゆりくまさん、本業が蒸留関係なので、やってみたくてたまらなかったというのが本音です。
ということで、決行しました。
フローラルウォーター(芳香蒸留水、ハイドロソル)は台所で作ることができます。
私もやってみた、簡単な作り方をご紹介します。
このところ化粧水にはフローラルウォーターを使っています。
いつもは専用のガラス器具で20ccくらいずつ蒸留しているのですが、もっとまとめてどーんと作りたい衝動に駆られていて・・・。というか、実はゆりくまさん、本業が蒸留関係なので、やってみたくてたまらなかったというのが本音です。
ということで、決行しました。
フローラルウォーター(芳香蒸留水、ハイドロソル)は台所で作ることができます。
私もやってみた、簡単な作り方をご紹介します。
【原理】
中が分かりやすいので、ガラス器具のほうで説明します。
長い筒の底の部分(スチル:蒸留釜)にハーブと水が入っています。これを下から加熱します。
スチル内の液は沸騰し、ハーブ中の精油成分や沸点の低い成分(芳香成分など)と水蒸気が筒内を上昇します。
筒の上部には円錐を逆さにした形の蓋がされています。ここには氷を置いているので冷えた状態です。スチルから上昇してきた蒸気はここで冷やされて液体に戻ります。この液体が水だけでなくハーブからの成分も含まれたフローラルウォーターです。装置の蓋の部分をコンデンサ(凝縮器)といいます。
さて、スチルの上にはフラスコが置かれています。コンデンサで凝縮してできたフローラルウォーターは、コンデンサの円錐部分の先端からこのフラスコ内に落ち、集められます。この部分を受器と呼びます。
これを台所の器具でやってしまおうということです。
【道具】 サイズについては後述
■スチル(蒸留釜) : 深い鍋。とにかく深さがほしい。
■コンデンサ(凝縮器) : 逆さにして鍋にぴったり合う蓋、 または鍋に乗せてぴったり蓋のできる丸いボウル(金属か耐熱ガラス)
■受器: 陶器、耐熱ガラス、金属のカップや小さいボウル
■受器を置く台 :スチーマー(鍋底に置くタイプか、鍋に差し込むタイプ)が便利。ステンレスのざるでもいいかも。
■熱源 (ガスコンロなど)
■氷を入れるポリ袋 :氷を取り替えやすくするため。
【材料】 量の詳細ついては後述
■精製水 : 塩素分等が蒸留水側に濃縮するので水道水は向かない。ミネラルウォーターのミネラル分は蒸発せずスチルに残るので使えるけど、高いものは無駄。鍋の大きさに合わせた適量用意。
■ハーブ : ラベンダー、オレンジフラワー、ローズペタル、ローズマリー、カモミール、レモンバームなどなど
精製水量の7%程 (500ccにつき30~40gくらい)を目安に。これは フレッシュでのお勧め量かも。香りの強いもののドライならこの半分(20gくらい)でもいいかもしれません。もちろん多くてもいいけど、ドライハーブが水を吸い切ってしまうと蒸留しにくいです。
■氷 :とにかくたくさん。
【道具の選定、採取できる量の関係】
●鍋の深さ
鍋の底にスチーマーと受器を置き、さらに逆さ向きに蓋をのせます。この時鍋に相当の深さがないと蓋と受器がぶつかってしまいます。膨らみの浅い蓋が使えるとしても、10cm以上ないときつい感じです。
大量に作るならパスタ鍋、スチーマー付の深鍋等でいけると思います。(後述のスチーマーのところ参照)
●蓋
くぼみが下になるようにのせて、鍋の口から蒸気が漏れないようにぴったり合っていることが必要です。鍋の純正や丁度いい蓋がないときには、大き目で底の丸いボウルなどを置いてみる手もあります。蓋よりくぼみが深くなるので、より鍋の深さが必要になりますが・・・。
●受器
背は低めでどっしりしたものがいいと思います。背が高いと蓋ができなくなるということもありますが、倒れてしまうともったいないので。
●スチーマー
受器がスチル部分のハーブ水に浸からず、倒れないようにしつつ、蒸気は通すような台が必要です。鍋に付属のスチーマー(蒸し台)やパスタ用のインサートなどが便利。
・工夫できれば市販のスチーマーでなくてもいいですが、下で紹介するように百均でスチーマー(サイズよりどり)が買えるので、考えるより買ったほうが早いと思います。
・スチーマー無しで湯飲みのような深めの受器を鍋底に置く(下のほうが液に浸かった状態)というのも無しではないです。ただ糸底(高台)部分に蒸気がたまりカタカタして倒れたりする危険があるのと、受器の底がスチルと同じ温度になってせっかく凝縮してきた液が再度加熱されることで有効成分が再蒸発したりデリケートな成分がどうにかなってしまう可能性もあり、受器は浮かせておいたほうが良質のフローラルウォーターが得られると思います。
※今回はIKEA365+シリーズの3Lを使いました(左写真奥)。容量はさほど大きくなくて深さが13cmもあります。一応スチーマーインサートもあるのですが、百均の置くタイプのスチーマーでやってみます(中写真)。蓋は付属のを逆さにおくことにしました。蒸気穴はテープを張ってふさぎます(右写真)。
●鍋の大きさと材料の量、採取できる量
鍋にスチーマーを置いて、その下に入れられる水がどのくらいか計っておきます。多少かぶっても可。それが仕込める精製水の最大量です。
ハーブは上に書いた量で。
得られるフローラルウォーターは、仕込みの精製水の2割強くらいが上限の目安です。受器の大きさの目安にもしてください。
空焚きにならない程度で長い時間蒸留すればもっとたくさんしぼり取ることはできますが、芳香成分が薄くなるし、スチルが煮詰まってくるためか焦げ臭いカラメルっぽい臭いがついてしまいます。
【事前に一度やっておくとよいこと】
道具と仕込み水の量が決まったら、水道水でよいのでハーブ無しで一度蒸留してみたほうがいいかも。
本番で蒸留を始めたら蓋を開けて中を確かめられないので、行き過ぎにならない火加減と時間、必要な氷の量などを確かめておくためです。30分~1時間超くらいで終えられるように加減できればよいかと思います。
【手順】
1)鍋にハーブと精製水を合わせ(ドライの場合は水に沈めるようによく混ぜて)、ハーブと成分が水側になじむように2時間くらいおく。
2)鍋にスチーマーと受器をセットし、普通に蓋をして火にかける。沸騰直前までは火は強めでもよい。目を離さないようにして(耳も)、沸き始める音がしたらコンデンサになるように蓋と氷をセットし、ごく弱火(ぐらぐら沸騰させないで蒸気が出続ける程度)に火加減する。手早く!
(はじめから蓋を逆さにセットしておいて、火加減と氷だけ乗せるようにしても別に問題ないかも)
3)ポリ袋に入れた氷を蓋に乗せる。
写真では氷2袋置いています。氷を取り替えるときに蓋がずれそうだったので、念のため蓋と取っ手をテープ止めしています。
4)氷が解けたら袋ごと取り替えながら、30分 ~1時間くらい蒸留する。
ウチでは氷2回替えて大体40分ほどで丁度よかったです
5)火を止め、全体が冷めるまでそのまま放置(蓋あけちゃだめ)
6)冷めたら蓋を取り(蓋の裏についた水滴も受器に移すようにして)、受器を取り出して得られた蒸留水を清潔な保存瓶に移す。一度コーヒーフィルタで濾すのもよい。
手作り化粧品の常套句ですが、冷蔵庫保管、1ヶ月以内に使い切ること。
なぜか蒸留直後はあまりいい香りがしませんが、冷蔵庫で一晩おくと全体になじんでいい感じになります。
ウチの場合、大体450ccくらいの水分で100cc強のローズウォーターができました。
ガスコンロが弱火にしにくいので、けっこうガンガン沸かしてしまっていたような気がします。途中で氷が解けてしまっていると蓋の隙間から蒸気が漏れてバラの香りが台所中に・・・もったいない。
さて、このローズウォーターをどうするのか・・・。化粧水用は別に作ってあるので、やっぱり石鹸に入れてしまおうかな♪
鍋はIKEAで買いました。
このくらいの深さがある鍋は5Lクラスの圧力鍋やパスタ鍋でないとなかなかなくて、そういうのはもともと家にあるのですが、大きいのでドライハーブで十分な量を用意してやるのに勇気が出ず、小さめの深鍋を探していました。スチーマーインサートがあるのがよかったし。
本来のフローラルウォーターは水蒸気蒸留で精油を得た副産物で、ハーブを水漬けにはしない装置で蒸留します。スチーマーの上にハーブをのせ、下から蒸気をあてて蒸すようにして蒸気は外へ取り出すものです。水漬けよりたくさんハーブを仕込めるかなというくらいで本質的に変わりはないと思います。スチーマーインサートを使うとこの蒸す方法も試せそうなので、フレッシュが手に入りやすいローズマリーなんかでやってみようかな。(ドライハーブはそもそも水戻ししないといけないので難しいかも)
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