■手順---------------
分量等は廃油1000gあたりで示します。油を増減されるときは計算しなおしてください。
廃油とは、常温で液体のサラダ油、キャノーラ油などの揚げ物油の廃油を想定しています。他の油を足したりするときは再計算してください。エコナなどの健康系オイルを含むときの注意点は「その1 : 作業フローチャート、道具」の記事に戻って確認してください。
【材料】
ディープ廃油 | 1000g (1kg) |
苛性ソーダ | 140g : サラダ油で鹸化率102%相当 |
水(ホットプロセス用) | 400~500g :油の40-50%。精製水が良いけど水道水でも可 |
食塩(精製塩) | 200g :ミネラルの多い海塩、あら塩、岩塩はダメ |
熱湯(塩析1回目用) | 1500g : 油の1.5倍 水道水でも可 |
【道具】
ステンレス鍋 | 5-6リットルほどの蓋つき鍋 |
↑を入れ子にして湯煎できる大鍋(あれば) | 10リットルサイズ |
泡だて器、ブレンダー | トレースまでかき混ぜるための道具 |
耐熱プラスチックやシリコンのヘラ | トレース以降、塩析まで使用 |
苛性ソーダを溶かす容器 | 1リットルくらいのプラスチック容器 |
秤、加熱源(ガス火、IHヒーターなど)、ゴーグル、マスク、ゴム手袋 |
【手順】
step-1
- ホットプロセスで石けんを作る
- 苛性ソーダ140gを分量の水(400-500cc)に溶かす。冷まさなくてよい。
- 廃油を鍋で70-80度に温め、一旦火から下ろす
- 苛性ソーダ水と油をあわせ、しっかりトレースが出るまでよく撹拌する
- 湯煎か直火(超とろ火)で2-3時間加熱。
20-30分ごとに様子を見て混ぜ合わせる。
直火の時は焦げ付かないようにこまめに面倒を見る(水分を50%にしておくかIHヒーターを使えると気楽)。または加熱して毛布等で保温をこまめに繰り返す。 - 透明感が出てもったり~マッシュポテト状(水分により)になったら終了。
毛布などで保温して数時間置くとなお確実。
ただし冷ましてしまうと後が大変なので温かくてタネが軟らかいうちに塩析を開始すること。 - 写真:ホットプロセス開始~トレース頃~終了の頃
- 塩析1回目
※1回目は少し薄めの食塩水で弱めに塩析する。下記"注意&ポイント"も参照のこと - 1500gのお湯に200gの食塩を溶かす。
- ホットプロセスの石けんが冷めていたら温めなおす
- とろ火で加熱、撹拌しながら石けんにゆっくり塩水を加える。沸騰するかしないかくらいの火加減でゆっくり混ぜ続ける。
- 石けん分がプルプルになり水分と分離し始める。塩水と石けんがよく触れ合うように大きく混ぜながら5-10分ほど加熱を続ける。
混ぜないで加熱を続けると熱湯が石けんで蓋をされた状態になり、突然沸騰して吹き上がる危険がある。 - 火を止め、自然に冷ます。急冷しないほうがよい。
- 一晩~一日おく
- 写真: 塩水を加えたところ、撹拌中、ヘラを差し込んで放置中
- (step-2)塩析石けん1回目の取り出し
- 写真:
左) 一日おいて固まった石けんを取り出す。鍋の周囲がきっちり固まっていたので菜箸で穴を開けて空気を入れてから、差し込んであったヘラで引っ張りあげた。
中) やや弱めの塩析のため、水分を多く含んでがっちりとは固まっていない。丸のまま抜けずに壊れてしまったが、問題ない。
右) 残った茶色い塩水は捨てる。過剰のアルカリが溶け出ている可能性があるので素手で触らないほうが無難
■塩析の注意&ポイント---------------
- 今回は2回塩析する予定なので、1回目は薄めの塩水を多めに使ってゆるく塩析する。このほうが色が取れやすいのだとか(ホントかな?)。しかし石けんが軟らかくなって若干取り出しにくいので、取り出しやすくしたいとき、1回しか塩析しないときは熱湯1500gに塩を250gに増やしてもよい。
- 塩析は水分が沸騰するくらいの熱をかける。加熱後はゆっくり自然に、中まで冷ますようにする。
しっかり熱をかけたあと、時間をかけて温度を下げていくことで薄い塩水でもしっかり石けん分が固まり(塩水を吐き出し)、石鹸中への塩分残留が少なくなる。中心部が温かかったり、急冷すると水分の多いふわふわ石けんになることがある。
外側が冷めたようでも内部の温度が下がるまでには時間がかかる。↑写真のステンレス鍋(パスタポット)は厚手のため、4-5時間経ってもまだ外側に温かさが残っていた。 - 強アルカリに強いステンレス。でも意外なことに塩(塩化物イオン)に弱いので、塩析中のまま長期間放置しない。石けんを取り出したら直ちに塩水を捨てて洗うこと。(日常で塩分の濃い料理も鍋のまま放置しちゃダメ)
- また、ステンレスは種類の異なる金属と長時間接触すると錆びることがあり、塩水との相乗効果絶大なので、ヘラ等を突っ込んだままにするときはシリコンやプラスチック製のものにすること
次回 【その3】 塩析2回目・塩抜き に続く!