廃油・塩析石けんの作り方 【その3】塩析2回目と塩抜き [├ 粉石けん・リバッチ石けん]
ディープ廃油を石けんにする際、塩析をして気になる色や臭いをある程度取り除く方法
step-2:塩析の2回目 です。
全体のフローチャートと注意点は「その1 : 作業フローチャート、道具」の記事を参照ください。
手作り洗濯用粉石けんに関しては「ガイドライン」の記事もご参考に。
■目次
その1 : 作業フローチャート、道具
その2 : step-1)ホットプロセスで石けん化、塩析1回目
その3★本記事 : step-2) 塩析2回目・塩抜き(必要なときのみ)
その4 : step-3) 仕上げ: 粉石けん化 or 固形石けん化
1回目とは若干やりかたを変えて、再度塩析します。
(3回以上塩析するときは2回目の手順を繰り返します。)
サラダ油の廃油と下に記載の水分、塩分量で、むっちりと固まった石けんを得ることができました。
何かの加減(塩、水分、油の組成、個人差 など)で塩の多く残った石けんができてしまった場合の洗浄方法を合わせて説明します。
■手順---------------
分量等は材料の廃油1000gあたりで示します。油を増減されるときは計算しなおしてください。
【材料】 塩析2回目
1回塩析した石けん | オイル 1000g (1kg)分 |
食塩(精製塩) | 150g :ミネラルの多い塩(海塩、あら塩、岩塩等)はダメ |
熱湯(塩析1回目用) | 1000g : 油の等量くらい。精製水が良いけど水道水でも可 |
【道具】
ステンレス鍋 | 5-6リットルほどの蓋つき鍋。深さのあるものがよい。 |
耐熱プラスチックやシリコンのヘラなど | 塩析中かき混ぜるための道具 |
大き目のトレイ、パットなど | 取り出した石けんを置いたり乾かしたり |
秤、加熱源(ガス火、IHヒーターなど)、まな板、ナイフなど |
【手順】
step-2 : 塩析
- 塩析2回目 ※1回目より少し濃い目の塩水で行う。
- 石けんの固まりは粗く崩しておく。1回目の固まり具合や乾燥具合によるが、手で親指くらいに崩すかナイフで薄く切る程度でよい。
- 水1000g(1リットル)を鍋で沸かす。沸騰したらぐらぐらしない程度に弱火にする。
もし1回目から時間が経って石けんが乾燥していたら1200gほどに増やしておいてもいい。 - 鍋のお湯に砕いた石けんを何回かに分けて入れ、かき混ぜながら溶かしていく。
入れたものの形が見えなくなったら次を入れるようにする。後半は水に溶かすというより石けんを温めて溶かすという感じで。泡立たせないように混ぜすぎと火加減に注意。 - きれいに溶けたら分量(150g)の塩を数回に分けて加え、都度よく混ぜて溶かす。
- 石けんが分離したら、沸騰寸前の火加減で、かき混ぜながら5-10分加熱して火を止める。
- 一晩 ~ 一日静置してゆっくり芯まで冷ます。
. - 写真(Ⅰ):
(左) 1回塩析した石けん。比較的軟らかいのでヘラを刺して適当に崩した。
(中・右) お湯のほうに石けんを溶かしこんでいく過程。
- 写真(Ⅱ)
(左) きれいに溶けたところ
(中) 塩を加えて・・・
(右) 煮込み終わったらヘラを差し込んで静置
- 石けんの取り出し
- 一晩置いて鍋がすっかり冷めたら石けんを取り出す。
- 写真(Ⅰ): 引き上げて取り出した石けんと残った水。1回目より色が薄い。
- 写真(Ⅱ): 今回はしっかり固まって、包丁を入れると中はムッチリ。裏面はツブツブしていて少し気持ち悪い。
- 塩加減・水加減・油の脂肪酸組成、そして手加減によってもこの時点での石けんの状態はかなり違ってくるでしょう。
- むっちり石けん(↑写真のような): 外側は若干ポロポロしているものの、中心部は均一な色で密に固まっている。
→このまま洗浄なしで仕上げ工程(step-3)へ - 軟らかめ~ふわふわ石けん: 軟らかくてしっかり固まっていないので取り出しにくい。外側は乾燥して白くてパリッとしているが内部は色が濃い。
→ 水分を切れるようにキッチンペーパーなどを敷いたザルやトレイに取り出したあと少し乾燥させてから、仕上げ工程(step-3)へ - ポロポロ石けん: しっかり塩析されている。固くて取り出しやすいが、断面は中までポロポロ("しまり"がない。軽くつまんだだけで砕ける)。
→ 後述の仕上げ煮または氷水洗浄で塩分を減らしたあと、仕上げ工程(step-3)へ。 - 写真 : (左)オタマで取り出したふわふわ石けん、(中・右)ポロポロ石けん(塩多すぎ)
- むっちり石けん(↑写真のような): 外側は若干ポロポロしているものの、中心部は均一な色で密に固まっている。
■塩の洗浄方法---------------
全体にポロポロしている、塩が表面に析出している、なめるとかなりしょっぱい(!)石けんは、以下のABどちらかの方法で塩分を減らす。
1000gバッチを1回で処理するならA.仕上げ煮のほうが簡単かも。
氷水洗浄では粒の表面しか洗えないので、袋の目とも相談してできるだけ細かくしておくこと。
- 仕上げ煮: いわば超ゆる塩析。お湯だけでもう一度加熱→冷却して水側に石けん中の塩を抜き出す。
- 石けんはぽろぽろに崩しておく。
- 400gほど(2回目塩析に使った水の3~4割)のお湯を沸かす。
- お湯に、崩した石けんを何回かに分けて溶かしこみ、混ぜる。
塩が多ければこれだけで石けんが分離してくる。きれいに溶けてしまった分離しなかったら塩を一つまみずつ加えて分離させる。 - 十分溶けたら5-10分加熱して火を止め、冷ます。冷めたら取り出す。
- 写真: (↑のぽろぽろじゃない"むっちり石鹸"でやったものだが、ちゃんと固まる例)
(左) 冷却後。ちゃんと固まっている。
(中・右) 一応水分が分離して石けんだけを取り出せる。塩過多ではない石けんだったので逆に水を吸って軟らかめになったが、以降の作業に特に問題なし。 - 氷水洗浄: 塩は氷水に溶けるが石けんは溶けにくいという性質を使って塩を洗い出す。
- 石けんはぽろぽろに崩して冷蔵庫で冷やしておく。
- 大きな容器に氷水を張る。
- 目の細かいガーゼ、洗濯ネットや不織布(台所用の水切り袋など)に小分けして包んだ石けんを氷水の中で洗う。
- よく水を切り、ザルなどに広げて少し乾燥させてから仕上げ工程へ
- 写真:三角コーナー用のの袋で洗ったあと、サラダスピナーで水切りしてみた。
- 袋に残った石けんは、袋ごと洗濯機に入れて使うなどして無駄にしないように
- 2回目では先にお湯で石けんを溶かしたあと、塩を入れる方法を採用。塩水に溶かそうとすると分離してしまって少々溶けにくくなる。 まず先に水とよくなじませてから塩を加えるほうが、石けん内の汚れを均一によく洗い出せる(ような気がする)。
- 何回も塩析すればどんどんきれいになるかというと、微妙。揚げ物廃油の場合、色は2回目でほぼ落ち着く。臭いは2回より3回目のほうが確実に改善されるがそれ以上は?? 2回目のもので我慢できなければ3回目を考えればよいかと思う 。
- 3回目の塩析代わりに仕上げ煮をすること前提で、2回目の塩析で記載よりもわざと塩を多くしておく作戦もアリ。
- この塩析方法は固形石けんをリバッチして塩析する方法としてもつかえる。特に固形の石けんを溶かす方法は、よくあるお湯をかけてふやかすより断然早い。
- パーム油等のパルミチン酸、ステアリン酸を多く含む固体脂を多く配合している固形石けんリバッチの場合は記載よりも塩を減量しても塩析可能。
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