石鹸は特に細かくすり下ろしたり前日から水に浸したりはせず、千切りか拍子木切りかという程度に包丁で切るので十分です。
これを煮とかすのですが、この場合の「とかす」は水に溶かす(dissolve)ではなく熱で融かす(melt)だということを意識してちゃんと熱をかけるようにするとマッシュポテトのようにならずにリバッチすることができます。
湯煎が優れているのは、過熱しすぎることがないことと、内鍋を沈めて側面をしっかり温めることができる点です。底だけしか温められない直火や浅い湯煎、蒸気浴のような状態では熱が逃げやすく、上面が冷めて固まり初めてしまうため、これを混ぜるとマッシュポテト状になってしまいます。
また、食塩を石けんの1%ほど加えておくと過剰に泡立たずかつ滑らかな状態を保つことができます。
今回は食塩に加えて鹸化用の苛性ソーダも加えているので電解質多めでより滑らかになっています。
※お湯の底にスプーンやマドラーを沈めて内鍋が少し持ち上がるようにしておくと沸騰した時にボコボコせず安全です。
始めは石鹸が水に浸るようにグイグイ押し込んで、その後は内鍋に蓋をして湯煎。10分に一回くらいかき混ぜます。30分ほどで7割方は溶けています(下写真)。1時間程度で溶け残りがほとんどなくなったので省エネのために内鍋を取り出してバスタオルで巻いて保温に移行します。(一旦 目を離して他のことをするためですが)
保温から出したところ。3時間後くらいか? 滑らかな石鹸液です。
■塩析段階
1回目
お湯 : 500cc
食塩 : 130gくらい
2回目以降
お湯 : 250cc
食塩 : 10-20gくらい(分離するまで)
リバッチで作った滑らかな石鹸液にお湯と食塩を加えて加熱し、塩析します。
しっかり温度を上げることで分離が進むので、湯煎はやめて直火にします。分離した石鹸が蓋になって沸騰した水分が突然吹き上がる危険があるので弱火で絶えずかき混ぜること。
石鹸がしっかり分離してから数分以上はコトコト煮込み、火を止めます。
ここで一旦ゆっくり冷まして固めることでよりきれいで塩分の少ない石鹸を得ることができるのですが、手抜きのため柔らかい石鹸を掬って取り出し(火傷注意)、冷めて固まる前に2回目の塩析をしてしまいます。
2回目以降は鍋にいれた塩析石けんに少量のお湯を加えて加熱し、分離してこないようなら様子を見ながら食塩を少しずつ加えます。
■粉石けん化
炭酸塩 : 400g
都合3回塩析し、3回目から取り出した塩析石けんが熱い内に炭酸塩の7割ほど(目分量)を混ぜ込みます。
石鹸をできるだけ空気に触れさせるつもりでせっせと混ぜます。ひたすら混ぜているとだんだん石けんが固まってきますが、これは水分が乾くのではなく冷めて固まるのだということを意識して手早くしっかり混ぜると後が楽になります。グルグルではなく、大きな塊を切るようにしつつ、時々天地を返すようにすると混ぜやすいと思います。
このくらいになってくると100均のふにゃふにゃのヘラではきついのでしっかりしたものに交換してさらに混ぜます。
ぱらぱらになってきたら平たい容器に広げます。残りの炭酸塩を加え、手で揉み込むように混ぜ込みます。
ここで、石鹸が温かいうちは、時間があればTVでも見ながら手で粒を潰したりすり合わせたりしながら混ぜ続けるとよりサラサラになります。(肌の弱い人はゴム手袋してください。私は素手で平気ですが)
すっかり冷めたら粉砕します。完全に乾かさない内に(翌日くらいに)作業する方が微細な粉が舞いにくくて楽です。
一旦 ザルで篩って残った大きい粒だけミキサーにかけます。親類から中古でミキサーをもらって俄然楽になりました。
これから水温が下がってくるので、手作り粉石けんはお風呂の残り湯が使える日に、市販の粉石けんと合わせて使っていきます。
今回はリバッチをモソモソにしないコツを書きましたが、この考え方はホットプロセスにも通じます。機会があれば近い内に滑らかホットプロセスバージョンを書きたいと思います。
応援よろしくお願いします。
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すっきり炭酸ソーダは台所用品店や粉石けんを取り扱っている自然食品店の店頭にあるかも。
食品添加物グレードのもの(無水塩)がおすすめです。