ハーブティーや浸出油の色、ハーブそのものの色、石けんに入れたときどうなるのか、そのままの色が残るのか、特に初めて使う材料のときは気になります、というのを軽く実験してみるシリーズ、第3回はローズヒップとリコピンです。
このシリーズの第2回:ハーブティー編で唯一アルカリで変色しなかったローズヒップを使った石けんの色について写真をまとめました。
特に実験的なことや考察らしい考察はありません。
ローズヒップの赤い色はリコピン(リコペン)というのが定説です。
リコピンはカロチノイド系の脂溶性色素で水にはほとんど溶けません。成分自体に強い抗酸化性がありますが、その人体への効用はまだ十分に検証されていないとのことです。
構造の違いから、同じくカロチノイド系色素であるにんじんのカロチン(カロテン)のようなビタミンA様の作用はありません。
石けん用の素材としては、カロテンよりも深い赤色、光に比較的強く退色しにくいというところが魅力的ですね。
(実のところローズヒップやトマトにはβ-カロチンもかなりの量入っているようです。)
リコピンが脂溶性ということで、エタノールとホホバ油で抽出してみたのが上の写真です。
左から
【ファインカット・冷】ホホバ・エタノール、【パウダー・冷】エタノール・ホホバ、【パウダー・温】ホホバ、【ファインカット・温】ホホバ、【パウダー・温】水
並べ方が不自然でごめんなさい。ローズヒップのカットサイズによる色の出方の違いが顕著ですが、温めたかどうかはあまり関係ないようです。またエタノールにもよく抽出されています。
しかしリコピンは水にほとんど溶けないというのにローズヒップティーは濃い赤茶色が出ますね。写真右端のお湯抽出も結構オレンジ色が出ています。
※パウダー込みの色です。水分だけの色を見たかったのですがジャム状になってしまい全く濾せませんでした。
察するに、リコピンやβ-カロチン以外の色素も含んでいるのでしょうね。元がローズですから花に含まれる赤系のアントシアニンもあるでしょうし、鉄分由来の色もありそうです。
同じくリコピンで有名なトマト(パウダー)と比べてみました。ちなみにトマトの花は黄色です。
左から、ローズヒップパウダーのエタノールと水、トマトパウダーのエタノールと水、です。
エタノール同士を比較する限り、ローズヒップとトマトは同じくらい抽出されているようです。
水は、トマトのほうはほとんど色が出ていませんでした。ローズヒップのほうはそれなりにオレンジが出ています。(写真のとおりトマトがトマトペースト状になって沈殿できず微量の上澄しか見られなかったのですが)
ローズヒップとトマトの石けん写真を掲載しておきます。
ローズヒップティーの石けん(丸いの)は白い生地ときっちり半々のマーブルだったのですが、赤茶色に侵食されて白がほとんどなくなっています。水出しの色成分は広がりやすいようです。ファインカットのローズヒップの周りに色がにじんだり、パウダー入れすぎるとだんだんどす黒くなったりするのは水溶性の成分の影響かもしれません。
というのは、オイルで抽出した色素で着色した部分は変色していないことと、トマトパウダーはかなり大量に入れてもローズヒップのような変色がなくパウダーの色そのままが残るからです。
■ローズヒップ。左:ティー(マーブル)、右:濃いところパウダー、薄いところインフュフーズドホホバオイルで着色
■トマトパウダー(オレンジのところ)
余談ですが、このためにローズヒップの色素や栄養素を調べたところ「リコピンがトマトの8倍!」という言葉と共に数値が示されているケースがほとんどでした(元データが一つ?)。この比較というのが、どうもドライのローズヒップと生トマトを比べているような・・・確証が取れないんですが(水分の存在を無視しているとしたらなかなか卑怯)。トマトペーストやトマトパウダーならもっと濃縮されているわけで・・・。だいたい生ローズヒップがあったとしても、トマト100gは食べられるけどローズヒップ100gは食べられないような気がするし。トマトは食品成分表にいろいろ載っていますが、ローズヒップについては可食部の定義がはっきりしないのと複数データが見当たらないので、今回は引用を避けることにしました。
リコピンはスイカにも含まれます。スイカジュースで赤色石けん。。。もっとスイカが安くなったらやってみようかな?