リバッチで在庫石鹸から粉石けんを作る実験の第2弾です。
前回そのまま溶かして作ることを試みたところ、、しっとり感が残って良い粉になりませんでした。過剰油脂の影響と思われます。
そこでリバッチ時にアルカリを足して過剰油脂をつぶし、さらに塩析で精製してみたので紹介します。
関連記事 粉石けんの作り方、(実験)リバッチ粉石けん-1 (精製無し)
【追記】 これは粉石けん作成の実験記事です。その後いろいろトライして私なりにまとめを作成していますので、粉石けん作りをしてみたい方はまずそちらを参照ください。 →粉石けんへの道[ガイドライン] へ |
※塩析のことは特に解説しません(様子を見ながら適当だったので)。ukiukiせっけんライフで廃油石鹸の塩析方法として紹介されている方法が分かりやすいのでリンク先をご参照ください。
1) | 固形石けんをすりおろし、リバッチ開始 |
| すりおろした切れ端石鹸(各種取り混ぜ)200gに200ccのお湯を加えて湯煎で溶かす。そこに苛性ソーダ3gを30ccの水に溶かしたものを加えて泡立てないようによく混ぜ合わせた後、蓋をして30分ほど湯煎継続。(追加した苛性ソーダ量の計算は下記参照) カレー色の物体。溶かした直後はゆるゆるでしたが、30分置いたら結構硬くなっていました。もう100ccほどお湯を加えてみてもさほどゆるくならなかったのでこのまま塩析へ。(ここでpH計ってみればよかったと後悔) 色もすごいですが、精油の入り混じった香りも残っています。 |
| ■追加アルカリ計算(適当です)■ ・過去に1回だけ観測した経験によると・・・、1ヶ月乾燥した石けんの水分は5~10%くらい。 ・水分を無視してオイルと苛性ソーダの反応のことだけを考慮したバランス -私の基本レシピ(ソフトオイル70、パーム15、ココナッツ/パーム核15、ディスカウント10%)の平均的な鹸化価(Na)は0.136~0.140程(0.14とする)。 -[オイル100g+NaOH 12.6g =112.6g]の反応後、未反応油10g、生成するグリセリン9.7g、石けん成分92.9g したがって 残存水分5%としたときの完成石けん100g中の内訳 -【水分5g、未反応油 8.4g、グリセリン 8.2g※、石けん78.4g】 残存水分10%としたときの完成石けん100g中の内訳 -【水分10g、未反応油 8.0g、グリセリン 7.6g、石けん74.4g】 固形石鹸100g中の未反応油脂 8.4~8.0gを再鹸化するのに必要なNaOHは1.2~1.1g。 実際には他にスーパーファットしていたりするかもしれないので多めに入れたほうが確実かも。 ※未反応油、グリセリンは計算上の便宜的な表現です、実際にはきっちり分かれているわけではなく、トリグリセリド、中間成分のモノ,ジグリセリドとグリセリンあわせて「未反応油脂 +グリセリン」の量になっています |
2) | 塩析する |
| 縦長の容器に移し、200ccの水に60gの精製塩を溶かした塩水を入れてシェイク。静置して浮いた石けんをすくい取ります。水切りした木綿豆腐のような感じになっています。色はパウダー類が多かったので水のほうにほとんど移すことができました(粉が沈んでました)。 もう少し薄めの塩水でもう1回同様に塩析。 最後に氷水で洗ってザルに空け、軽く水気を切ってからガーゼでしぼって塩析終了(写真撮り忘れました)。写真では真っ白ですが、色白な高野豆腐のような色です。スポンジでよく泡立ちます。 |
3) | 乾燥させてパウダーに |
| 上の計算から実質的な石けん分は150gほどと考えられるので、石けん分70%になるように炭酸ソーダ65gを混ぜ合わせて乾燥。 温めないで混ぜたところ、あまり良く混ざりません。 乳鉢ですって粉にしました。炭酸ソーダが混ざっていない大きな粒がちょっと潰しにくいですが、きれいに粉にできました。 サラサラとはしているものの、やや重めでぎゅっと抑えると固まりそうです。ホホバ油とかが残るのか。また追加アルカリはもっと多めでも良かったかもと思います。 でもこれの前に追加アルカリ無しで塩析精製のみで粉にしたものに比べるとはるかにサラサラです(写真はないです)。やはり塩析で全部の過剰油脂までは取れないようですね。 そして、精油の香りが残っています。当たり前といえば当たり前ですが、水に溶けない精油は塩析で洗われずに大半残るようです。 |
■まとめと反省
アルカリ追加して未反応&スーパーファットの油脂を潰してしまうことで比較的きれいな粉石けんができました。
ただ、追加アルカリは思い切ってもっと多めにしてもよかったかもしれません。はじめから鹸化率100%で作ったものと比べると少々油が残っているようなしっとり感があるので。
在庫リバッチということで色々なパウダーやカロチーノで着色された石けんが多かったのですが、これも塩析である程度取り除くことができました。しかし精油は洗いきれずに残ります。精油のせいでこの粉石けんだけでお洗濯するにはちょっと問題ありそうなので、いつもの石けんに少しずつ混ぜて消費したいと思います。
さて、3回(実は追加アルカリ無しもあるので4回)かけて粉石けんに取り組んできたわけですが、粉石けんを作るという行為も楽しかったものの、それ以上に感動したのは過剰油脂無しの石けんの泡立ちの豊かさ、ふくよかさ、きめ細かさ、白さという点です。オプション材料を入れ、アルカリをディスカウントした冷製法石けんはそれはそれなりの良さがあるのだけれど、本来石けんとはこういうものだということを見せ付けられた思いです。いい勉強になりました♪
粉石けんシリーズはこれにて一区切り。