初めに紹介する方法は、名付けてSuihanki Hot Process、SHP!
(英語圏へ輸出されないと思うので敢えて日本語。Rice cooker Hot Process、RHPでもいいですが)
湯煎を使ういわゆる普通のホットプロセスに電気炊飯器を活用しようというもの。
ただそれだけです。前置き長くてすいません。
■■SHP手順
▼モデルレシピ(ガスールサンド石鹸 300gバッチ)
・オイル:オリーブ油 72%、パーム核油 18%、カカオバター 10%、ROE
・水分 35%、鹸化率 95%
・オプション: ガスール、ホホバ油、EO
・あれば 乳酸ナトリウム(粉末) オイルの0.5%(1.5g):食塩でも代用可
▼道具(特記のみ)
ボウル、シリコンへら、泡だて器(スティックブレンダー)、炊飯器、適当なナベブタ、タオル
苛性ソーダ水溶液を作るセット
石鹸型
▼手順
(0)下準備(道具探し)
・炊飯器の釜に差し込んで湯煎が可能なボウルや容器(ステンレスまたは耐熱ガラス、苛性ソーダ耐性・耐熱のある樹脂)を探す。
※ウチの場合は5合炊きの炊飯器に20cmの深型ボウルがぴったりでした(下写真。釜に水を張ってるので少し浮いてます)。
※多少上がはみ出してもかまわない。底から側面がしっかり湯煎できるようなものを。
・また、容器を沈めて側面までしっかり湯煎できる水(お湯)の量を確認しておく。
※底面が加熱されていても側面から冷えることが、ホットプロセスのタネが扱いにくくなる原因の一つ。
・ボウル、あるいは炊飯釜ごとかぶせられる鍋ブタがあれば用意しておく。
※ウチの場合、18cmのステンレス鍋のふたがジャストサイズ。
・ソフトオイル(特にオリーブオイル)が多いレシピでは非常に型出ししにくくなるらしいので、底が抜けるタイプの型や、紙やポリ袋での中敷きを用意。
(1)ホホバ油以外のオイル、苛性ソーダ水溶液を計量・調製する。
・固体脂は溶かす
・苛性ソーダを溶かす水には あらかじめオイルの0.5%程度の乳酸ナトリウムを溶かしておく。食塩でも代用可。
※加熱後もタネが滑らかで扱いやすくなる。なくても可。
・苛性ソーダ水溶液は冷まさなくてよい。
(2)しっかりトレースが出るまで鹸化させる。
※オイルと苛性ソーダ水の温度を合わせる必要はありません。
※あればブレンダーを使って一気に進めてしまいましょう。
(3)炊飯器で湯煎開始
・炊飯器の釜に手順(0)で確認した量のお湯(70℃以上)を張り、(2)の石鹸タネが入ったボウルを沈める
・鍋ブタ、タオルをかけて炊飯器を「保温」にセットする。 (炊飯器のふたは閉めなくてよい)
・15分おきくらいに様子を確認し、全体がジェル化したらそのまま2~3時間程保温継続する(監視不要)。
・「保温」を切り、10分ほど置いて落ち着かせる。
※以下、実況
・15分後 (湯温 60℃) 縁の方がジェル化し始め
・45分後 (湯温 68℃) 全体がジェル化
※混ぜる必要はありません
・2時間半後、保温停止。念のためpH確認 (9-10くらい)。マッシュポテトではなくかなり滑らか。
(4)オプション追加
※冷めると扱いづらくなるので手早く。可能であれば湯煎から外さずに作業する。
・ホホバ油を加えて混ぜる。EOやFOを加える場合、先にホホバ油に合わせておくと楽。
※ここで少量のオイルを追加することで更に滑らかになり型入れしやすくなる。ホホバやヒマワリ油などさらっとしたオイルがよいらしい。
※SFしたくない場合は省略可
※上のより滑らか!
・色材、スクラブ材等のオプションを加えて混ぜる。
※今回は半量を取り分けて水に溶いておいたガスールを添加。
(5)型入れ、型出し
・スプーンやおたまで型に移し替える。
・途中で型をトントンして空気を抜きながら重ねていく。
・室温において冷ます
・冷めたら型出し、カット可能
(6)乾燥
・鹸化は進んでいるが、十分乾燥させる方が使用感は良くなる。
■■ 応用
▼透明石鹸
・シロップやアルコールを加えた後の保温工程に使えます。アルコールが飛ばないようにボウルにラップを。
▼カリ石鹸(リキッドソープの素、アルコール使用しない場合)
・(0)~(3)、KOHに置き換えて同様に。
・乳酸ナトリウムや食塩は不要
・次回紹介するCPSPのほうがよいかも。そちらも参考ください。
▼リバッチ
・削った石鹸と水分を合わせて(3)から。
・石鹸の0.5%ほどの乳酸ナトリウムや食塩を加えておくとマッシュポテトになりにくい。
以上
温度が上がりすぎる心配がないため、保温モードに入ったら何もしなくてよいです。
今後も廃油せっけんやナトカリ石鹸をぱぱっと作りたい時に活躍しそうです。
次回、CPSPに続く〜
■■追記
電気炊飯器がない場合、IHヒーターや電気鍋を用いた湯煎でも同じことができます。
湯煎の温度が65〜75℃くらいに維持されるのが理想です。
温度が低い分には時間をかけることでカバーできますが、温度が上がりすぎると分離が起こりやすくなります。
従って、電気炊飯器以外で保温温度を直接設定できない機器を使う場合には、一度お湯だけで温度を測定し、上記の温度範囲を保てるようなヒーターの目盛りを見極めておくことをおすすめします。
※湯煎でなく鍋に直接タネをいれると底だけ加熱で底の温度は上がるのに側面や表面が冷えやすく、分離や部分的な固化を防ぐために時々かき混ぜる必要が生じます。過度にかき混ぜるとぽそぽそのマッシュポテト状になりやすく、また監視フリーというわけにもいかなくなりますので、楽をしたいのであれば実は容器をしっかり沈めた湯煎がベストです。
FBページ HandmadeSoapくまま でも石鹸近況など書いてます。
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