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ロジンについて
少し昔の日本では、松脂は獣脂や植物油より安価で入手しやすく、気泡力のある石鹸が得られることから、戦前~戦後しばらくは主要な石鹸原料として取り扱われてきました。(油脂の石けんの一部に樹脂を混合する使い方)
透明石けんの素材としても使われていたようです。
また南北戦争の頃の米国では白い石鹸が作られておらず、黄色いパインタール石鹸が主流でした。
もちろん今でも松脂の石鹸は製造・販売されています。アメリカではボディ用、シャンプー用で比較的メジャーな存在のようです。
日本では洗濯、台所用のものが見受けられます。(エコを謳っているものもあるみたい。一般の石鹸に比べて何が特別エコなんだかよく分かりませんが。)
化粧品原料として使われることもあります。主にヘアスプレーやネイルラッカーの接着剤用途ですが、クリームに使うといううわさも・・・。
ただし、ロジンは旧表示指定成分です。皮膚トラブルの原因になる可能性が少し高いかもしれません。(ロジン酸せっけんは指定成分ではありません)
ロジンの主成分は樹脂酸と呼ばれる酸で、C20のアビチエン酸とその異性体になります。
詳しくは
ハリマ化成さんのサイト を参照ください。
必要なアルカリの量は酸価から求められます(酸のため、鹸化価とはいいません)。
私が購入したものはガムロジンで酸価168~180 KOH-mg/g なので平均して174とすると、NaOH換算で124になります。
ちなみに物性値
酸価168~180 KOH-mg/g
軟化点70~80℃
灰分0.002以下
外観 淡黄色
※販売元からいただいた購入仕様書の値なので、上述のハリマ化成で紹介されている物性値とは若干異なります。
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さて、本番ではCPソープの一部をロジンにしたものを考えているのですがあまりに得体が知れなさ過ぎるので、その前にロジン単体で石鹸にしてみました。
その模様のレポートです。
ロジンは酸のため、苛性ソーダを使わなくても炭酸ナトリウムによる中和で石鹸になるはずです。
上記の酸価から、Na2CO3(無水)相当の必要量は165mg/gで、以下のレシピでやってみました。
全体量が少なくて湯煎中に水分がなくなりそうだったので相対的に水が多くなっています。
ロジン 30g
精製水 30g
炭酸ナトリウム 5g
▼反応中
砕いて粉にしたロジンを少量ずつ、炭酸ナトリウム水溶液に混ぜていきます(軟化点以上になるように湯煎で加熱中)。
はじめは軟らかくなったロジンが分離していましたが、混ぜているうちに一体化してきました。石鹸ができているのかな?
湯煎の火を止めていてもポコポコと泡が出るのも、Naが消費されて炭酸が発生していることを予感させます。いい感じ。
▼ロジンを全部入れ終わった頃
なんかヤバイ見た目の物体になっていますが・・・。 大丈夫かな。
とりあえずこのモッタリ味噌を小さいシリコン型に入れて放置中。
ボウルや薬匙に残ったものは結構ネチャネチャ、コテコテで、取れるかどうか心配。
▼せっけんと思われるブツでボウルを洗ってみる
おお!泡立った!
大きな泡が出るけど泡持ちはめちゃめちゃ悪く、カメラを準備している間にどんどん消えてしまう~。
ボウルと薬匙は生成したロジン石鹸でかなりきれいに洗えました。一応ちゃんと石鹸の性能を有する模様。
反応しないで匙やボウルの縁にこびりついていた樹脂は、熱湯を張って少量の炭酸ソーダと共にかき混ぜたらあっさり取れました。
洗った手は・・・少し松脂独特のぺたっ・きゅっとした感じが残りましたね(滑り止めつけてる状態)。
何はともあれ石鹸になることがわかったので、CP石鹸に配合する作戦、決行です。レシピ考えます。
ロジン100%石けんの完成品は追って写真を公開します。
水分多いのでなかなか乾燥しなさそうです。
参考文献も追って追記する予定です。
※当ブログ内の手作り石けん・化粧品等の使用感は私(ゆりくま)の個人的な感想です。すべての人が同じように感じられるとは限りませんし、材料が合わない可能性もあります。特にロジン自体は本文中にも書いたように化粧品の旧表示指定成分です。参考にされる場合には十分ご注意ください。