■特徴
ローレル油はシリアやトルコなど地中海沿岸の自生林がある地域で手作業で採集されています。手摘みで集めた実と水を大きな鍋に入れ、ゆっくりと加熱して煮込みながら浮いてきたオイルをすくい取る方法で作られます。100kgの実から10kg前後しか採れない希少なオイルです。
現地では大半が石鹸原料となりますが、痛みを緩和する効果のあるマッサージオイルや育毛・フケ防止の頭皮ケアオイルとしても用いられるとのことです。
アレッポの石鹸、ガール石鹸、ダフネ石鹸にローレルオイルが配合されているのは有名です。
アレッポは地名ですが、ガール、ダフネはそれぞれシリア、トルコの言葉でローレルの意味です。
オイルは黒緑色から褐色で、たいへん香りが強いのが特徴です。後述しますが精油成分が多く含まれているためではないかと考えます。
販売店の方によれば、単独より他のオイルと混ぜて用いられることが多いとのことです。高価だからというだけではなく、さわやかに香る適切な配合という考え方もある、おすすめは25~35%くらいとのお話でした。
購入したオイルは黄褐色、。材木屋さんのような木の香りが非常に強いものでした。
■成分と鹸化価など
オイルを分析した文献から抜粋します。(あくまで文献値であり、購入できるものとは品種、地域や天候による差、ロット差があるため、同じとは限らないことをご承知ください)
▽精油成分(参照 文献2)
乾燥させた実(おそらく核部分も含む)から抽出した精油成分の分析値です。(画像をクリックすると大きくなります)
木の香りのする成分が多く含まれているのが分かります。
個々の精油成分の作用をみれば、上述のような用途に用いられることも納得できると思います。
▽油脂分 (参照 文献1、2)
乾燥果実(全体?)、核部分、核を取り除いた実の部分の油脂の分析値と、脂肪酸組成から(ゆりくまが)計算した鹸化価、ヨウ素価です。(画像をクリックすると大きくなります)
購入できるオイルは右端の果肉のオイルに近いと考えられます。
パルミチン酸、オレイン酸、リノール酸がメインの脂肪酸組成で、若干のラウリン酸も含みます。
詳しくは公開できませんが、販売店から教えていただいた情報でもメインの脂肪酸種は同じでしたが、リノール酸が文献値よりも多く、その分オレイン酸が少ない感じでした。
したがって石鹸にする場合には、アーモンド油やアプリコットカーネル油に硬さと泡持ちの良さを足したようなオイルと考えればよいのではないかと考えます。
果肉のオイルの製法では採取されないと思われる、核の油脂の脂肪酸組成が非常に特徴的でおもしろいですね。
中鎖脂肪酸を含む油脂の中でもココナッツ油やパーム核油の場合、ラウリン酸の次に多いのはパルミチン酸になりますが、ローレル核油ではオレイン酸です。従って前の2つとはかなり異なった仕上がりになるように思います。この部分が別途採取されているのなら一度見てみたい、使ってみたいものです。
今回の購入品の鹸化価は198mg-KOH/1g (苛性ソーダ換算 141)でした。が、同じお店のものでもやはりロットにより若干の差があるので、購入時に確認するようにしてください。
■作った石けん
■□■ 月桂樹の石けん (マイアレッポ25) ■□■
オリーブ油、月桂樹実油
水分 33%、鹸化率 95%
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非常にシンプルに、シリア産のオリーブ油75%、ローレルオイル25%だけで作りました。
香りがとてもよく残って、しっかり固い石けんになっています。
濡らすととてもきれいな緑色です。オリーブ油の方も濃い緑色だったので、色はそちら由来かもしれません。
泡立ちはぬるっとしたオリーブ石鹸に近く、全身に使っていますが、特にシャンプーがお気に入りです。
髪というより頭皮に良い感じで、かゆみが出にくくなったように思います。
型入れ時はこんな色。
保温から出した時には透明な汗をかいていました。
小さめにカットして、交流会でサンプルとして付けさせてもらいました。
で、自分用としては、マイアレッポというからにはごろっと大きいのも1個残しておかなくてはね。
なので残っているのは形ばらばらで3個なのです。。。
もう少し高配合のもの、他の香りを合わせたものも試してみたいと思っています。
共同購入された皆さんがどのように料理されるのかもとても楽しみです。
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■□■ リファレンス ■□■
■購入店
有限会社 クロスロードトレーディング http://www.crosroad.com※2011.12.15-17のエコプロダクツ展(東京ビックサイト)に出展されるとのことです。展示内容の紹介によればオイルの販売もあるかもしれません。
■文献(1)
Extraction and Separation of Volatile and Fixed Oils from Berries of Laurus nobilis L. by Supercritical CO2
(超臨界CO2によるLaurus nobilis L 果実の揮発油と固定油脂の抽出と分離)Hanen Marzoukiら Molecules 2008, 13, 1702-1711
チュニジア産、乾燥果実の分析結果
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■文献(2)
Some Peculiarities in The Glyceride Structure of Laurel Fats.
(ローレル脂グリセライドの構造特性)Geoffrey Collin Biochem 1931
果肉と核の油脂の脂肪酸組成解析