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ナトカリ石鹸、ジェル石けん (5) アレンジ編 [├ 用語・材料・化学っぽいこと]



水酸化ナトリウム(苛性ソーダ、NaOH)で作るNa石けん(主に固形)、水酸化カリウム(苛性カリ、KOH)で作るK石けん(主に液体)。
NaOHとKOHを混ぜたらナトカリ石鹸。

その性状を探る実験中ですが、今回は実験はお休みして、ジェル石けんのアレンジをまとめて紹介します。


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前記事
・ナトカリ石鹸、ジェル石けん (1) :ジェルソープの素紹介
・ナトカリ石鹸、ジェル石けん (2) :基本の4種
・ナトカリ石鹸、ジェル石けん (3) :ココナッツ濃度の違い
・ナトカリ石鹸、ジェル石けん (4) :希釈度合いの違いなど
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ナトカリジェル石けんの特徴は、増粘材無しで比較的高濃度でジェル状、またはとろみのある液状にできること。そしてNa石けんを溶かしただけのものと違って高濃度&低温でもプルプルに固まりにくく、ねばねばした糸を引きにくいことだと思います。(オイルの配合やナトリウムの比率によっては白っぽく不透明になることはありますが、固形化はしません)

[写真1]



[写真1]は実験記事(1)-(4)で作った希釈石けんを試験管から一つの瓶に集めたもの。流動性がないジェル状で、すくっても糸を引きません。
(紅花油ベース、ココナッツ20%前後、少しパーム。実は地震で試験管が倒れ、流動性のあるものの大半はこぼれてしまいました。)

このように とろとろに流れる手前くらいになるように希釈してジェル状またはクリーム状の石けんとして使うことができます。希釈度合いは、オイル組成にもよりますが、2倍(ジェルの素と同量の水分)前後です。
希釈には精製水のほかにお好みのチンキ剤やグリセリンなどの保湿成分を加えることができます。すべて水分量としてカウントします。ただグリセリンをたくさん入れると、特に固めに仕上げた時には時間がたつとグリセリンが染み出してくることがあるようです。

[写真2]
石けんクリームと生石けん風
[写真3]
石けんクリームと生石けん風

■クリームソープ (石けんクリーム)

[写真2]の手前左側、[写真3]のお皿の上左側。少し固めに練りあげたジェル状石けんです。
ポンプボトルから棒状で出てくるくらいの固さです。固めの練り歯磨きくらいの感じでしょうか。

元のジェル石けん([写真1]や[写真2]の奥の瓶)に比べて不透明なのはオプションのチンキなどを混ぜ込む際によくかき混ぜたために気泡を含んでいるからです。

ここでジェル状だからこそ使える超おススメのオプションは「単体脂肪酸」です。石けん材料として売られているステアリン酸やミリスチン酸が手に入りやすいと思います。

残っているかもしれない遊離アルカリを中和して石けんになるとともに適度にpHを下げ、泡をクリーミーにします。(泡立ち自体は若干悪くなります)。

私はカリ石鹸で洗顔すると若干刺激を感じることがあるのですが、全くそのようなことがなくなり、洗顔後のツッパリ感もなく、非常にマイルドになります。

加える量はジェルソープの素の1%程度(重量)。ジェルソープの素を希釈するときにその脂肪酸の融点以上に温めて溶かしこみます。または別容器で溶かして温めたジェルソープに混ぜ合わせます。グリセリンなどと合わせて温めると混ぜる前に冷えて固まってしまうのを少し遅らせることができます。また混ぜ合わせる温度が低すぎると分散する前に固まってツブツブが残ります。多少ならそのまま使っても大丈夫です。
※希釈しすぎてとろみがなくなると冷えた時に沈澱してしまいます。


■生石けん風クリームソープ

[写真2]の手前右側、[写真3]のお皿の上右側です。某メーカーの「生せっけん」風にクレイをたくさん混ぜ込んだもの。

適度に希釈したジェルソープに、半量から等量程度の水で溶いてダマをなくしたクレイを混ぜ込みます。クレイが水分を吸って固くなりやすいので、適宜水分を足して好みの固さに調整します。
クレイを混ぜる量はお好みですが、あまりたくさん入れると石けんとしての機能を果たせなくなるかもしれません。写真のものはジェルソープの素30g位に対し、大さじ1ほどのホワイトカオリンを入れています。

混ぜ物が多くて泡立ちが悪いため、ネットやスポンジが必要です。


■携帯用

[写真4]
携帯用ジェルソープ

上記のクリームソープ、ジェルソープやとろみがあるリキッドはポンプボトル、チューブ容器に入れて携帯するのにも便利です。
石けん濃度が高いので、2~3泊程度の旅行なら機内持ち込み可能な50ccのボトル1本で毎晩洗髪付きでも余裕です。

[写真5]
携帯用クリームソープ

ピンクのクリームソープのボトルは希釈時に紫根のチンキで色を付けたものです。
濃いのと薄いのを作って混ざらないように重ねてあるのですが・・・ 見えますか?
もっとはっきり差をつければ、こんなボトリングの楽しみもあるかと思います。(使っていくうちに混ざってしまうんでしょうが)


■なんちゃってナトカリ石けん(おまけ)

上の写真4や5に写っている紫色のリキッドは、普通のカリ石鹸を希釈するときに紫根の透明石けんを型抜きした切れ端を溶かしこんで「後からナトカリ石けん」にしたものです。キッチンソープとして使う予定。

ジェル状にまで調整するのは難しいですが、このようにカリ石鹸に普通の固形石鹸(Na石けん)を溶かしこんでことでとろみをつけることができます。ちょっとお手軽な方法。
固形石鹸がパームや牛脂の多いものだときれいに溶けずに沈澱したり低温で固まったりしやすくなります。

このあたりのことも、今後の実験記事や計算方法紹介の中で少し触れていければと思います。

余談ですがこの紫根の色は非常に光に弱いです。明るいキッチンに置いておくとほんの数日で色がなくなって鼠色っぽくなってしまいます。。。

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※当ブログ内の手作り石けん・化粧品等の使用感は私(ゆりくま)の個人的な感想です。すべての人が同じように感じられるとは限りませんし、材料が合わない可能性もあります。参考にされる場合には十分ご注意ください。

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コメント 2

ミッシー

こんにちは
今回もとても参考になり使わせて頂きたいところがあります

>カリ石鹸で洗顔すると若干刺激を感じることがあるのですが、全くそのようなことがなくなり、洗顔後のツッパリ感もなく、非常にマイルドになります。

加える量はジェルソープの素の1%程度(重量)。ジェルソープの素を希釈するときにその脂肪酸の融点以上に温めて溶かしこみます。または別容器で溶かして温めたジェルソープに混ぜ合わせます。グリセリンなどと合わせて温めると混ぜる前に冷えて固まってしまうのを少し遅らせることができます。また混ぜ合わせる温度が低すぎると分散する前に固まってツブツブが残ります。多少ならそのまま使っても大丈夫です。
※希釈しすぎてとろみがなくなると冷えた時に沈澱してしまいます。

ミリスチン酸 ステアリン酸がだいぶありますので、これなら
・・・・・・と思いました。ありがとう
おまけに紫の石けんを夢見て ウル抽中です。
熟成を3月もうけていますので、紫外線に弱いなら 少し濃い目の色のほうが良いかもと思いました。
色々教えていただいて本当に感謝します。
これからも楽しみにしていますので、頑張ってください
地震で試験管割れたのですか?大変なときでしょうが
私もできることをしようと思っています。
早く日本が元のようになることを祈ります。
by ミッシー (2011-03-23 10:22) 

ゆりくま

■ミッシーさん

脂肪酸、いい働きするのでぜひお試しください。
ウル抽も楽しみですね。
リキッドソープならタネに色を付けるより希釈の時にチンキ剤などを混ぜ合わせるほうが都度新鮮で簡単かもしれません。

試験官は1本だけ割れてしまいました。
あと食器が少し壊れた程度で大きな被害はありません。
みんな大変ですが、がんばっていきましょう!
by ゆりくま (2011-03-25 23:45) 

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