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石けん炊いてみました、そのニ 。 CPSP [▼手作り石鹸のツボ]



炊飯器で石鹸炊いてみました、の二つ目、 CPSPです。

・作った石鹸の紹介はこちら→「ホットプロセスの石鹸、2種」
・石鹸炊いてみた一つ目の記事はこちら → 「石鹸炊いてみました、その一。SHP」

CPSPとは、Cold Process, Suihanki Process  の略です(もしくは Cold Process, Rice cooker Process,  CPRP)。私の造語なので検索しないように!

CPOP(Cold Process, Oven Process ーー 普通のCPの作り方で型入れした後、型ごとオーブンで加熱する方法) のパクリで、加熱に電気炊飯器を使おうというものです。
電気炊飯器の「保温」がグツグツ煮ないホットプロセスに理想的な70℃程なのを利用します。

型入れまではCPと同じなので、マーブル、スワールやレイヤー、コンフェティなどの模様付けがそのままでHP並の鹸化促進を行うことができます。確実にジェル化させられます(ここが一番のツボかも)。


また普通のHPでは行わないウォーターディスカウントも可能なため、「デザインを活かしつつ十分鹸化が進められてほぼ乾燥も不要」な作り方に限りなく近いのではないでしょうか。
※加熱するため、通常のCPよりは早く鹸化が完了しますが、熟成期間を取らずに使いたい時は必ずpH確認をしてください。また水分の乾燥期間はそれなりに必要です。

※追記
CPOPとはというご質問があったので最後に追記しました。
CPSPに共通する注意点もあるのでご覧ください

■■CPSP手順

▼写真の石鹸のモデルレシピ(レッドクレイのレイヤー石鹸、 350gバッチ)
・オイル:オリーブ油 72%、パーム核油+ココナッツ油 18%、パーム油 10%
・オプション: レッドクレイ、ホワイトカオリン、スクワラン、FO
・水分 22%、鹸化率 92%  ※苛性ソーダ濃度が38%になる水分量


▼道具(特記のみ)
CPでトレースまで作成する道具一式、炊飯器、適当なナベブタ、タオル
炊飯器に入る大きさの耐熱の石鹸型



▼手順

(0)下準備(道具探し)

・炊飯器の釜に入れて湯煎が可能な石鹸型を探す。耐熱・耐苛性ソーダのポリプロピレン容器、シリコン型、牛乳パック縦使い(ポリ袋で覆う) など。
※多少上にはみ出してもかまわない。底から側面がしっかり湯煎できるようなものを。

・タネ入りの石鹸型を浮かない程度に沈めて側面までしっかり湯煎できる水(お湯)の量を確認しておく。

・石鹸型入りの炊飯釜にかぶせられる鍋ブタがあれば用意しておく。保温強化に加えて、型を確実に沈めるのと、タオルが蒸気で湿るのを避けるのが目的なので、この目的を達成できるものなら何でも良い。

・ソフトオイル(特にオリーブオイル)が多いレシピでは非常に型出ししにくくなるらしい。柔軟性のないプラスチック容器はオーブンペーパーやポリ袋等で内張りする。


※プラ容器の大きさ確認中の写真。
※以下の実例ではポリプロピレンのプラ容器(オーブンペーパーを十字に敷いて内張り)と18cmのステンレス鍋のふたを利用。



(1)いつものコールドプロセスで型入れまで

※特に注意事項はありません。普段通りの手順で型入れまで行ってください。
※着香も済ませておきます。




(2)炊飯器で湯煎開始

・炊飯器の釜に手順(0)で確認した量のお湯(70℃以上)を張り、(1)の石鹸タネが入った型を沈める
・鍋ブタ、タオルをかけて炊飯器を「保温」にセットする。 (炊飯器のふたは閉めなくてよい)


※湯煎からの水滴がタネに落ちると嫌なのでラップしています。

・15分おきくらいに様子を確認し、全体がジェル化したらそのまま2時間程「保温」継続する(監視不要)。
・2時間後、「保温」を切り、そのまま(タオル等かけたまま)自然に冷めるのを待つ。
※4ー5時間「保温」を継続してから取り出しても良いが、急に冷ますとむらができやすいので特に冬期は下記と同様に保温しながらゆっくり冷ます。
※炊飯器を本来の用途に使う必要があれば、2時間の通電保温後は温かいうちに型を取り出して保温箱に入れるか、バスタオル等でくるんで保温する。ゆっくり冷ますように。



※実例
・「保温」開始後、30分 (湯温 65℃) 。縁からジェル化している。まだ中央までは到達していない。


・60分後 (湯温 68℃)、 全体がジェル化したのを確認。
・2時間保温、1時間放置。その後炊飯器を使うため、取り出してバスタオル巻で保温継続。


(3) 型出し

・室温まで冷めたら型出し。
・WDしている場合は早めにカットする。



※翌日、型出し。オーブンペーパーごと引っ張り出した状態。はみ出しはほとんどなし。


(4)乾燥

・鹸化は進んでいるが、十分乾燥させる方が使用感は良くなる。
・WDが大きい場合は早く使い始めることができる。




■■ 応用

▼カリ石鹸(リキッドソープの素、アルコール使用しない場合)、ソーダ石鹸のリキッドの素

・(0)~(2)、リキッドの素のレシピに置き換えて同様に。
・リキッドの素を希釈、あるいは保管する容器を型にすれば移し替え不要。
・ウォーターディスカウントは不要

以上


少々型を選びますが、炊飯器の大きさ次第では小さい型をさらに大きな容器にいれて保温することも可能かと思います。

ジェル化には水分量と温度が主な要因となるのですが、ここまで水分を減らしても加熱によって十分にジェル化させることができました。
ジェル化石けんがお好きな方はぜひお試しくださいませ。


■■追記


電気炊飯器がない場合、IHヒーターや電気鍋を用いた湯煎でも同じことができます。
湯煎の温度が65〜75℃くらいに維持されるのが理想です。
温度が低い分には時間をかけることでカバーできますが、温度が上がりすぎると分離が起こりやすくなります。
従って、電気炊飯器以外で保温温度を直接設定できない機器を使う場合には、一度お湯だけで温度を測定し、上記の温度範囲を保てるようなヒーターの目盛りを見極めておくことをおすすめします。



CPOP(Cold Process, Oven Process)手順

コールドプロセスで型入れした後、170℉(約76℃)のオーブンに型をいれ、1ー2時間加熱する。
加熱を停止後もオーブンが室温に冷めるまで約一晩放置する。

熟成期間が必要かどうかは意見が分かれる。HPのように加熱しているため、使えるかどうかという観点では使えるがWDしていないならCPと同じ乾燥期間をとった方がよいという意見と、心配だからとにかく4週間は熟成乾燥させる、という意見がある。まあ使う前にpH確認してください。

レシピにミルクや蜂蜜は禁止。濃い茶色に変色したり溢れて型からこぼれたりするとのこと。



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O嬢

ゆりくまさん!!!CPOPやりましたぜ!!!
試験紙でpH8が出たから、もう使っちゃってますww
by O嬢 (2012-08-03 23:48) 

ゆりくま

■O嬢さん

おお〜、今度見せて〜。
みんないいオーブン持ってるのね。うちのは最低100℃なの。
by ゆりくま (2012-08-04 00:24) 

菜々

CPSP、素晴らしい造語ですねww
70度くらいを維持してくれる熱源となると、コンビニでよく見れる「ホットショーケース(から揚げやフランクフルトなどを保温する機械)」が一番適するという印象を受けますが、いかがでしょうか。
(保温設備の購入を検討しています~)
by 菜々 (2012-08-22 12:33) 

ゆりくま

■菜々さん、コメントありがとうございます

なんと! マニアックだけど面白いですね。
お値段、ランニングコスト的にどちらがお得かわかりませんが、汎用性(他の用途にも使える)という点では、もし私が購入するならコンベクションオーブンかなぁと考えてます。
そもそもそんなに焼かないんですが。。。
by ゆりくま (2012-08-22 17:45) 

ぶんぞう

ゆりくまさん、はじめまして。
石けん作りを始めたばかりですが、ゆりくまさんの記事をいろいろ参考にさせてもらっています。
ずっと以前の記事なので、こちらにコメントするか迷ったのですが…
CPSPやってみました。ごま油とレッドパームの石けんです。
私の炊飯器が小さかったので、冷めるスピードが、ちょっと早かったかなー?というのが反省点です。
(ブログにこちらの記事を参考にしましたと、載せてもいいでしょうか?)
by ぶんぞう (2013-01-16 13:39) 

ゆりくま

■ぶんぞうさん

はじめまして。
最近はあまり新しいネタを提供できていませんが、お役に立つことがあれば幸いです。
もし次回挑戦されることがあれば、全体にバスタオルをかけるなどして保温を助けると良いかも。石鹸作りでは急加熱や急冷はあまりいいことには繋がらないようです。

ブログのリンクは大歓迎です。ご自由にどうぞ〜
by ゆりくま (2013-01-16 17:02) 

ぶんぞう

さっそくのお返事ありがとうございます!
やっぱり、保温は大事なんですねー。
つぎは、温度のことにもっと気をつけて、挑戦したいと思います。
過去の化学記事など、ゆっくり読破させていただきますー。
by ぶんぞう (2013-01-16 17:28) 

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